作問記録:第1回 ぬりかべ

ペンパを作問しながら、思ったことを逐次記録していこうと思う。

考えたことを漏らさずに記録してきたいので、日時もあわせて記録していく。ペンパ以外の事象も、関係しそうなものに関しては書いていこうと思う。

実際には「記事を書く」という行動自体がペンパの作問に影響を与える面もあるだろう。記事を書くために画像を用意したり文章をタイピングしたりしながら作業を進めていくので、普通に作問するよりも、かなり長い時間がかかるものと予想される。この「作問記録」の記事は、シリーズ化することを視野に入れているが、体力や時間が削られる可能性は懸念している(記事によっては書くのに結構体力を使うので)。まずはやってみて感覚を掴みたい。

今回は、シリーズの初回ということで、私が作れそうなペンパを選ぶ(ハタン地獄になるのは避けたい)。ぱずぷれ(http://pzv.jp/)の一覧中で最初にあった「ぬりかべ」を作ることにする。一応数問ほど作ったことがある。

1/28 16:00

まず、全体の構想を考える。

今のところ、特に作りたいテーマなどはないので、作りながら考えていく。

とりあえず盤面サイズを決める。以前は何も考えずに10x10で作っていたが、最近は、少し大きめの盤面サイズの方が気持ちよく作れると感じている。少し大きめの盤面サイズにしよう。正方形だと、なんとなく構想が思いつきづらいので、長方形にする。PCの横長ディスプレイ上で作問する都合、横長の盤面サイズにする。今回は、横を大きく16にして、縦は逆に小さく8にしてみる。

図1

この盤面サイズで、記事を書きながら作問するのは、疲れるかもしれない、という懸念はある。とりあえず進めてみる。

16:20

ぬりかべは、どういう配置が面白いのだろう。どれくらいの大きさの数字を使うのがいいのだろう。このあたりの感覚が、そもそも、よくわかっていない。少し考えてみる。

表出数字の中で、1はわかりやすいが、数字に隣接する最大4マスを塗らないといけないのが、解いていてちょっと面倒に感じる。もう少し大きい数字の方が、二択、三択…とパターンを作れて個人的には楽しい。今回は基本的に2以上の数を使う方向で考えを進めてみる。

配置についてだが、今回は、左側半分と右側半分で異なった印象の傾向を持たせようと思う(私は、盤面内の場所によって雰囲気を変えるスタイルが好きなので)。

最初に盤面の左上にいくつかの数字を配置してみて、そのあとの作問の流れを作りたい。

図2

コーナーの数字の配置について考えていて、なんとなく図2のような配置を思いついた。ナンリンで好きな配置の一つである。この配置をぬりかべで使ってみたらどうなるか、気になる。左上隅はこの配置にしてみる。

16:30

盤面の左半分と右半分とでコンセプトを変える、ということを考えていた。具体的に左右をどのようなコンセプトにするかを考える。一番最初に思いつくのは、左右で数字の大きさが違う、というもの。例えば、一方は1~5くらいなのに、もう一方は10~20くらいになっている、等のイメージ。これなら一目瞭然である。

このコンセプトでちゃんと作問ができそうか、について、ざっと考えておく。頭の中でイメージをしてみると、それほど無理はなさそうだが、左右の「つなぎ目」の部分の形がなんとなくピンとこない。「つなぎ目」の部分には注意をしておいた方がいいかもしれない。また、そもそも「小さい数字だらけ」や「大きい数字だらけ」といった状況でちゃんと唯一解になるか、解き筋ができるか、というのも懸念される。後先考えずに作って失敗しがちなので、この懸念を先に考えておきたい。左側が「小さい数字だらけ」、右側が「大きい数字だらけ」とする。

図3

この記事の中で、「小さい数字だらけ」「大きい数字だらけ」と毎回書くのは面倒なので、適当に名前を付けておきたい。小領域/大領域、というのはどうか。なにか違う。小さいものが集まっている、大きいものが集まっている、のイメージにもっとあう言葉が欲しい。住宅街/農地、はどうか。住宅街は小さい建物が密集しているイメージがあって、農地はだだっ広くて不定形のイメージがある。このイメージに近い。他にめぼしい名前は現時点で思いつかない。ここでは、「住宅街」/「農地」と呼ぶことにする。

16:44

農地側の作問については楽観視している。数字どうしが衝突して黒マスが発生する展開や、黒マスが脱出しようとする展開、それによって数字が押し合いながら脱出する展開が作りやすい。また、2x2禁で生まれた白マスを取りに行く展開も作りやすい。

一方で、住宅街側は、完成盤面のイメージができていない。盤面サイズがさほど大きくないので、住宅街側の数字は1~3程度が妥当と思われる。それらの1~3の数字の間の空間を間を壁が通ることになるはずだが、形のイメージができていない。やはり、住宅街側の方が重くなりそうだ。ただ、「住宅街/農地」という構想を捨ててしまうには、まだ気が早いと思う。住宅街側の方が作問が重くなりそうなので、後でハタンしないように、住宅街側から先に作っていくことにする。

16:53

まず左上隅の数字を決める。1だと面白くないという考え方を今は信じて、2を入れてみる。

図4

2が、右に伸びるか、下に伸びるか、の二択になる。下に伸びるときは黒マスの分断ができて、後々分断禁で手を進められそうだ。右に伸びるときは、黒マスの形がなんとなく気持ち良い。

図5
図6

おおいに悩むところだ。二択を残したまま作問を進めていく作り方もあるだろうが、ぬりかべの作問経験が少ないため、ハタンしてしまうリスクが大きい。この部分を確定させる見通しを立てておきたい。

図7

図5と図6を見ていて、右に1を入れることを思いついた。2が下に伸びると、図7の赤丸の部分で2x2禁形ができてハタンなので、2は右に伸びることがわかる。右に伸びた2が先ほど置いた1に衝突して発生した黒マスが、下方向に脱出するところまでが確定する。

図8

17:20

先ほどの配置には、いくつか気に入らない点がある。

  • この記事の最初の方に、1は使いたくないということを書いていたので、できれば避けたい。
  • 1を置いたことによって、最初に置いた2の役割の見え方が変わりすぎている。

1の代わりに、2以上の数を置いてみることを考える。今度は、数が左方向に伸びる解が生じるので、すぐには確定しなくなる。

図9

右の2をどうにかして確定してやれば連鎖的に左の2も確定するので、連鎖が作れそうだ。この方向で考えてみる。

17:30

遡って、連鎖を考え直す。

図10

この連鎖を上辺から発動させるには、その前段階として、次の2パターンがありそうだ。

図11
図12

17:39

なんとなく、2が連続しているのが面白くない。右の方の2を3にして、同じように連鎖を作れないだろうか。

図13

こういう風にすれば(Xを黒マスに、Yを白マスにすれば)、3から連鎖させることができる。テクニカルな決まり方でいい具合だ。しかし、下準備が難しくなってきた。

17:47

下準備の部分がリスキーなので、しっかり考えておきたい。先ほどの図13の中で、Xの黒マスを先に確定させる場合、(Yがまだ決まっていない段階でも)盤面左上の見通しが立ちやすくなりそうだ。これは避けたいので、事前にYが白マスになることを決めておいて、後からXの黒マスが決まる順番になるようにしたい。Xは、右方向から伸びてきた白マスと3が衝突することによって発生させることができる。この場合、Xで発生した黒マスの塊は下方向に脱出する流れになる。流れの順番のイメージをざっくりと下の図に示す。

図14

17:58

上の図で1番の部分には、単純に表出を置いてしまえばよさそうだ。左上の配置が固まってきたので、いったん全消しする。

図15

この状態から、すぐに手が進む心配はなさそうだ(少なくとも、おてごろ程度の推論の範囲なら)。左上はこの形にしよう。上辺は右側から波及させて決めることを忘れないようにしたい。

18:04

いったん夕食。時間がもったいないので近くのコンビニまで行って弁当を買ってきた。今夜は頭を使いたいので夜食用のメロンパンも買ってきた。弁当をコンビニで温めると待ち時間が発生して時間効率が悪いため、帰宅後にホテルに戻ってから加熱をすることにした。弁当を食べたのち、急激にやる気がなくなってきたので、YouTubeで、マウンテンバイクライドの動画を見た。メロンパンも食べた。時間効率とはなんだったのか。

19:02

コーヒーを飲んでモチベーションを回復したので、続きを作っていく。ここまでで、盤面の右上から、左上、そして左下へと波及していく論理の流れができつつある。今作っている盤面サイズは、少し大きめ、程度のサイズなので、全体の論理の流れは、単純に一直線の論理展開でもよさそうだ。入口をどこにするか、そしてゴールをどこにするのか、が問題になる。ざっくりと言って、左下をゴールにする案と、右下をゴールにする案が考えられる。住宅地の部分は作りづらいのでは、と予想している(私の中に手筋のレパートリーがない)ので、右下をゴールにする方向で考える。

図16

現時点で盤面の左上だけが完成している。次は、盤面の左下を作っていきたい。

19:09

2の直後に2を持ってくるのは、単調感がある。そこで、2の下の「?」に、3を入れることにする。

図17

この後の作り方が、思いつかない。序盤でも似たような形があったが、空中に黒マスが浮いた形を作った後の作り方はどうするのが良いのだろうか。…悩んでいても進展がなさそうなので、思い切って新たに入口を作るつもりで、表出を2つ置いてみる。

図18

これをじっと見ていて気付いたが、左下の数が2 or 3なら、左辺の黒マスの塊が左下隅を経由して脱出することができないため、未確定だった3の脱出方向が確定する。さらに、そこから2x2禁が続く。

図19

19:21

3に頼りすぎているきらいはあるものの、懸念していたような「つまらない」ロジックにはならずに済んでいて良い流れだと思う。

次の「?」だが、3が連続しているので、今度は2にしよう。

図20

左下の3・2ペアあたりが入口になって決まりすぎないかざっと確認したが、問題なさそうだ。

明らかに、左下に次の展開を作りやすい形ができている。ここは、2にするか3にするか、くらいだろうか。あるいは、大きな数字をここまで割り込ませる、という作り方もあるだろう。大きな数字の割り込みは、意外さがあって良さそうだ。「意外さ」を強調するためには、大きな数字が割り込む経路が、目立たないようにする必要があるだろう。そこで、下辺にも表出を入れたい。

下辺に一つ数字を入れる。この数字は、ぎりぎり住宅街側に住んでいるので、小さい数字を入れるつもりである。この数字を入れたことによって次々と確定が起こる。

図21

19:33

これが本当に「意外」かと言うと、少々怪しい。表出のない空間が広いので、大きい数字が伸びることが予想できてしまう。実際に、「?」が3以下なら、大きい数字が入り込むことが確定してしまう。ほかの展開もいくつか試してみる。

まずは下辺をすぐに数字で回収する展開。数字のバランスを考慮して、上を2に、下を3にしてみる。

図22

これは悪くはなさそうだ。

あるいは、右から抑える代わりに、上から抑えてみる。

図23

赤丸で示した箇所の2x2禁で手が発生するのが心配だったのだが、「?」を3にすれば問題ない。少し数字の配置が上に寄っているような気もする。今のところはこのパターンが一番しっくりくるので、これを採用する。

図24

20:01

入浴

入浴をしながらこの後の方針について考えていた。今回は、入口とゴールを同時に作る形で作問を終わらせる方向にしようと思う。入口は調整がしやすいので、ゴールの調整の難しさを吸収してくれるのではないかと期待している。

20:40

次の展開が難しい。上辺についてそろそろ考え始めた方が良いだろうが、これというアイデアがない。下辺も悩ましい。住宅街と農地の中間領域であるため、どうにも扱いづらい。むしろ中央から決めたらうまくいかないか。中央の黒マスの右側に表出「?」をつけてみる。

図25

うまくいった。Bのマスが黒マスになると仮定すると赤矢印の形で手が進み、黒マスの塊が閉じ込められる。したがってBは白マスになる。

20:59

図26

ここまで決まった。3の右上は決まり、3が右方向に1マス脱出してくる。ここに大きい数字をぶつけよう。下辺からの脱出は二択にしたいので、新たに2つの「?」を置く。

図27

21:06

下辺の「?」がまっすぐ左に行くのはあまりにも不格好なので、上側の「?」が取りに行く展開にしたい。少し露骨すぎるかもしれないが、仕方がない。次の展開が進みやすいように、下辺の数字は左の洞窟に届かない程度の大きさの数字(ただし、それなりに大きい)ということにして、上の数字は届く数字にする。

図28

そろそろ上辺を進める必要がありそうだ。白マスを自発的に上辺に沿って進めるためには、下から妨害する必要がある。しかし、「?」が嫌な位置にあるため、?による方向指示ができない。上辺を2にしてさらに右側から白マスを当てることを考える。

図29

この展開を作るのは難しそうだ。というのは、右側から白マスを伸ばしてくるためには、白マスを上方向に伸ばすことに対する禁止の効果が必要だが、上の空間は明らかに空いており、それを妨害するためにはさらに右側から白マスを当てるくらいしかなさそうなのである。しかし、それをすると上辺の黒マスが次の手で閉じ込められてしまう。仮にそれができたとしても、図29を見るとわかるように、左下のXの黒マスの塊が2x2禁のせいで脱出できない。この方向は失敗である。

21:24

どうにかならないものか、としばらく考えていた。白マスを左に伸ばす他のパターンがないか。次のパターンを思いついた。

図30

先ほどと同じように上辺に2を置く。その右側で黒マスを発生させて、さらにその右側から白で挟む。黒マスが脱出する原動力によって2を追い詰めていき、2を左側に脱出させれば良い。

少し光が見えた気がするが、よく見るとAの流れの白マスとBの白マスが喧嘩してしまっている。また、このままでは黒マスの2x2が発生してしまう。さらに、よくよく見ると黒マスの塊が閉じ込められている。遡って考え直してみると、先ほどの機構(黒マスが脱出する機構)が働く条件と、この黒マスの塊が左側に出口を持っていない事実が、相性が悪い。

左側を作問する時に、脱出に頼りすぎていたことが今になって痛い。やはり遡り作問には独特のコツがいるようだ。

21:35

少し見通しが悪くなってきたので、作問ステップを遡って修正を試みる。どこをどう改変するかが考えどころだ。今は、中央の「?」がどうにも邪魔になる。この「?」の手筋は面白いものの、そこまでこだわりはないため、消してしまおう。下辺の二つの「?」も消して良いが、今のところは残しておく。改めて黒マスの脱出の流れを意識して検討してみる。

上辺で白マスを左に追いやるうえで、その下で黒マスを左方向に脱出させたかったのだった。そこで、その黒マスを脱出させるために、さらに下方向に脱出させる必要がある。すると、次図の展開が考えられる。

図31

21:59

上辺の未確定要素が多すぎるので、具体的に数字を入れていく。あまり難しく考えたくないので、素直に黒マスが発生する形を使う。

図32

今度は2つ並んだ2の部分が二択になった。両方のパターンを調べてみる。

図33
図34

先ほどの失敗を踏まえて黒マスのつながりに注意してみる。私が見た限りでは、どちらでも問題はなさそうだ。

2を2つ並べる形にしたが、右側の2は3にしてもいいかもしれない。

図35

22:16

図32(→図33or図34)か、または図35のどちらかのパターンで作っていこうと思う。

今日は疲れたので続きは別日に作る。

1/29 9:42

日が変わった。続きを作っていく。

日を変えたので改めて見直そう、ということで全消しして再検討をする。今日改めて解いてみると、歯車の狂っている箇所が3か所もあった。

図36

①もともと、上辺の「?」を左方向に(dに)進めさせたいのだった。そのためには、a, bの二択は左方向に進める必要がある。

図37

②図37で、黄色い矢印の黒マスの流れを意図していたが、右上の「?」のマス数が与えられる都合、この流れにはならない(周りが黒マスで囲まれることが先にわかる)。

図38

③図38で、Aの黒マスの塊が脱出することによってXの3が決まる流れを意図していたが、実際には、Bが2であるために2x2禁が発生して確定してしまう。

10:22

3つもハタンがある。心が折れるようなハタンだが、粘ってみる。この記事を読み返していたところ、どうやらハタンの原因は図31の構想にあるようだ、とわかった。基本のアイデアは変えずに、少しだけ調整を加えてみる。

図39

まず、壁沿いに並ぶ3つの矢印の長さを変える。壁に近づくにつれて長くなる形を採用する。加えて、先ほどの図38の失敗の原因の「2」を3に変更した。この構想なら3にしても問題ない。これで、とりあえずハタンが回避できそうだ。

10:33

少し休憩

10:50

先ほど2を3に変更したが、そちらは必須ではないようだ。とりあえず3で考えていくが、2にする選択肢も視野に入れておこう。

いよいよ、盤面の右上を作っていく。危なっかしいので、なるべく単純な作りを目指す。

図40

赤い矢印の部分がトリガーになる想定である。赤い矢印が追加で1マス伸びるとハタンすることは既にわかっている(念のため再確認したが、やはりハタンする)。

図41

結局、ここまで確定する。

11:00

負債が大きくなってきた。最新の注意を払いつつ作る必要がある。いくつかのパターンを作っていく。

図42

図42は単純な作り。少し単純すぎるきらいがある。もう少し工夫をしてみる。

図43

こちらの方が形が良いので、こちらで進めてみる。

図44

Eの部分まで白マスを伸ばせば分断禁につなげられるので、Eを白にしたくなる。しかし、Eを白にするとGが黒になり、楕円で囲んだ2マスのどちらが黒マスになるかが確定しない(複数解になる)と思われる。ということは、Eを黒にするしかない。この場合、今伸びてきている「?」は4になる。農地の割には少し数の大きさが小さいのが気になるが、ここはまだ調整が効きそうな形なので、いったんこれで良しとする。

11:19

次は下辺を進めていく。表面に出ている「3」をどのように片付けるか、が論点になるだろう。

図45

3の形として、このパターン(L字の部分)を考える。もしXの部分が白マスになるとすると、四角形の部分で色を反転する別解ができてしまうため、うまくいかない。このパターンはうまくいかなそうだ。Xが黒マスになる場合は、Xの上の「?」が4マスの農地を確保できない。

図46

こちらなら、問題はなさそうだ。

図47

あるいは、こういうのも考えられる(図47)。この場合、Xの代わりにYが黒マスになる別解ができないかの心配があるが、Zを黒マスにすれば解決する。

11:43

ぬりかべでループができると、なんとなく嬉しい。図47の方向で考えを進める。この洞窟の白マスを、右の「?」と上の「?」のどちらに回収させるかだが、上の「?」に回収させるのはうまくいかなそうだ。先ほどのZのマスが白マスになる別解が生じてしまう。

図48

すると、右側の「?」に回収させるしかなさそうだ。

図49

右側の「?」からまっすぐ洞窟の回収に向かうのは気に入らない、ということを、この記事の前の方で書いていたにもかかわらず、結局まっすぐ回収する流れになってしまった。他のパターンも考えてみる。改めて図46のパターンを考えてみる。よくよく見ると、図46のパターンも図47のX-Y反転の別解が回避できていない。すぐには他の回避策を思いつかないので、仕方がない。直進回収のパターンでいくことにする。

12:02

図50

農地にするための制約と、複数解回避のための制約で、このパターンに絞られる。そろそろ、「複数解にならないためにこのパターンしかない」から、理詰めのロジックへ落とし込んでおきたい。

2つの「?」に具体的に入れる数を決める。残りの農地の空間には、左下の洞窟に届かない程度の大きさの数字を入れることを想定する。ここでは、右下の「?」には、洞窟に届くギリギリの数である8を入れることにする。下手に余裕があると先ほどのZのマスに侵入する解をうっかり作ってしまいかねない。もう一方の「?」には、最大で8まで入れてよいが、解き手に少しでも親切にするために、近い数字は避けることにする。ここでは、6を入れてみる。

図51

この図の状態まで決まる。問題は3と6の間の壁がうまく作れるか、というところ。6に余裕があると、3を奥に押し込む解ができてしまう。そのため、6を右側から全力で引っ張ってやる必要がある。

12:14

昼食、今日は適当に具材を入れて鍋。そして昼寝。

15:00

図52

6を引っ張る他に、下の黒マスの塊の分断禁で手を進める作り方も考えられることに気づいた。

最後は勢いで作る。

盤面右上で大きな数字が押し合って上辺まで伸びてくる流れと、下辺で9によって分断される形を意識して配置してみる。

図53

2つの9の部分にそれぞれ別解がありそうだ。調整する。

図54

これもうまくいかない。盤面右上の8と7の反発力が弱すぎる。入口が意外とうまく作れない。とりあえず上辺だけでもどうにか見通し良く決める必要がありそうだ。

図55

ずっと単純な入口にした。とりあえず入口は決まるようになった。あとは残りの空間を決めれば良い。農地側は、なるべく少ない黒マス数で分割する形の方が作りやすそうだ。7を8にしても解がある。

図56

ようやく唯一解にできたようだ。…と思うが、心配なので、pzprRT(https://semiexp.net/pzprrt/index.html)でチェックしてもらう。

残念ながら、見逃しがあった。

図57

このパターンがある(チェッカーボード反転をした解もある)ことがわかった。

16:00

どうも廊下の部分の理解が甘い。論理を整理しておく。

図58

右側から制御ができ得る要素は2つある。一つは、HとIが(右側の空間を介して)つながるかで、もう一つは、Jが白マスになるかどうか。全パターンを調べる。

HとI J 廊下内の解の数
つながらない 1(唯一解)
つながらない 0(解なし)
つながる 1(唯一解)
つながる 3(複数解)

16:18

やはり分断をすることが必要そうだ。しばらく色々なパターンを試してみていたが、そのままではうまく分断ができそうにない。盤面の右側の調整ではどうにもうまくいかないので、盤面中央も再検討する。盤面中央の6を一つ右にずらすことで強制的に分断できることに気づいた(序盤には影響がないはず)。

図59

16:30

これで残りの領域は好きに作れるようになったはずである。適当に置いてみる。

図60

全消しして解き直す。かなり終盤まで解けたが、まだ別解が生じている。

図61

16:42

あと少しの調整という様子である。調整のパターンをいくつか用意して、数うちゃあたる、の戦法でいく。右上の8を、(i) 9にする、(ii) 7にする、(iii) 6にする、を考える(どれも解がある)。7だと複数解を見つけた。9はできそうだが、逆に減らす方が意外性がある気がするので、6を先に試してみる。

図62

唯一解のようだ。先ほどの失敗もあるので、念のためpzprRTでチェックする。チェックの結果、問題がないようだ。

16:52

完成!

図63

http://pzv.jp/p.html?nurikabe/16/8/2h3i3g5g6zg3h3zg5t6n2h3q3p6s8k

最後に反省会をしておく。数字の配置のバランスが悪いのが、一番気になるところ。表出数字の配置が全体的に左方向、上方向に寄っている。コンセプトに関しては、当初は左右で雰囲気が異なるように作る、という意図だったが、期待していたほどインパクトのある見た目にならなかったのが残念である。大きい数字は露骨になりすぎたようにも思う。

考えたことを記事に記録しながら問題を作っていく、という今回の試みは、総じてうまく機能していたように感じる。私は記憶力が乏しいため、普段作問をする中でハタンをしてしまうと、そのハタンの原因が特定できない場合が多い。記事を書きながら作問をしていくと、過去のどの段階で誤った推論をしてしまっていたのかが明確に分析できて、次回以降の作問に活かすことができる。

この試みは、また機会(と私の活力)があれば行っていきたい。