作問記録:第3回 Tectonic Squares

ペンパを作る(作問する)チャレンジである作問記録も、今回で3回目になる。前回は作問に時間をかけすぎたので、今回は短期間でさっぱりと作成したい。

2/12 7:12

今回は、Kudamono Editor(https://pedros.works/kudamono-editor.html)で作ってみようと思う。このエディタを使ったパズルを1~2問解いたことがあるが、このエディタで作問をしたことはない。作問を通して、エディタの使い方の感覚を掴みたい。

これまでの2回の作問記録で、理詰め寄りの問題を作ってきた。今回は、もう少し難易度を上げたい。

7:16

パズルの一覧を参照して、どのパズルを作るかを考えていく。

一覧を眺めていて、「Tectonic Squares」(https://pedros.works/tectonic-squares.html)というパズルに目がとまった。斜めの正方形を配置するパズルらしく、見た目が面白そうである。「Ionic Squares」(https://pedros.works/ionic-squares.html)というパズルのバリアントとして作られたらしい。ルールを読む。なんとなく、唯一解にするのに苦戦しそうな印象を受ける。Ionic Squaresにしておいた方が安全そうだ。Tectonic SquaresとIonic Squaresのどちらを作るかが問題だ。とりあえずTectonic Squaresを作ってみる。

7:32

サイトに置かれている例題画像を見る限り、点を密集させて入口(?)にするのがセオリーのようだ。おまけのような立ち位置の黒マスがかわいそうなので、黒マスを積極的に使ったパズルを作りたい。

今回は短期間でさっぱりと作成したい、と上で書いていた。さっぱりとしつつ、面白い問題にして、なおかつ短期間で作るというのは大変なことだろう。なにかコンセプトというか、面白いアイデアを見つけたい。パズルのルールを見つつ考える。なんとなく、小さい正方形ができるのは「気持ちよくない」気がする。点の周囲に思い切って黒マスを置いて、大きな正方形を発生させるようにしよう。黒マスもたっぷりと置いて、迷路のような風味を出すのはどうか。それくらい思い切っても、まだ唯一解にするのが難しいかもしれない。

斜めの正方形を発生させるルールだが、斜めではない正方形を発生させることは禁止されていない。斜めではない正方形を、あえて発生させるのも面白そうだ。

方向性が固まってきたが、心配なのは、唯一解になるか、ということと、正方形の発生位置が露骨にならないか、ということ。また、正方形の中央に点が来てはいけない、というルールを生かすイメージが出来ていない。

7:43

休憩

8:21

今回は運任せの感覚で作りたいので、とにかくエディタを触ってみる。

ショートカットキーが豊富だが、私にこんなものが覚えられるはずもないので、操作説明ページを別タブで開いておく。スペースキーで編集モード/解答モードを切り替えられるそうだが、もっと直感的な方法もあった。解答モードの時は画面下の「edit」ボタンを押すと編集モードになるようだ。逆に編集モードの時は画面下の「solve」ボタンを押すと解答モードに入るようだ。最初、画面下の「sol.」ボタンを押すと解答モードになるのかと思ったが、押しても反応がない。操作説明ページで「sol」を検索しても説明が見つからなかった。謎である。

作問がしたいので、ここからは主に編集モードの使い方を調べていく。編集モードの時は、画面の右下に「difficulty」や「author」などのボタンがある。ここでメタ情報を登録できるようだ。「solve」ボタンの左隣には、グリッドサイズを変更できるボタンがあった。このあたりはわかりやすい。URLを作成する方法が不明だが、どうも、盤面を編集するたびに動的にURLが変化する。このURLをそのまま利用できるのだろう。…と思ったら、解答モード右下の「Print or share this puzzle!」ボタンからリンクを生成できるようだ。

8:44

ここから実際に作っていく。盤面サイズを10x10にしよう。グリッドボタンから盤面サイズを10x10にできたが、URLはなぜか「W=9&H=9」になっている。不安だが、URL出力しても10x10で出力されているので、大丈夫だろう。内部的には盤面を双対格子で扱っているのかもしれない。ここに来てわかってきたのだが、画面下の「sol.」や「level」や「all」は、全消去ボタンのようだ。

  • 解答モードの「sol.」ボタン:解答を全消去?
  • 編集モードの「level」ボタン:問題だけを消去?
  • 編集モードの「all」ボタン:問題と解答を全消去?

(後で気づいたことだが、ボタンの上にカーソルを乗せると、説明文(title)がポップアップする。)

まずはいくつか正方形を置いてみる。正方形の頂点が他の正方形上に来ないことだけは注意が必要そうだ。解答モードに入って正方形達を配置したのち、右下のシェアボタンから画像保存をする。画像サイズは、1マスあたりのサイズを指定するのではなくて、画像全体の辺の長さを指定するようだ。一辺36pxくらいにしたいので、36px×10=360px設定で保存する(マージン部分でずれそうだが…)。

図1

次に、表出を置いていく。

図2

例えばこういうのはどうだろう。思い切った配置で、悪くないと思う。優しすぎるかもしれない。

図3

右下をこういう風にすれば、ルールの「点が正方形の中心に来ない」を生かせるかもしれない。

図4

これ(表出が重なっている配置)はアリなのだろうか。これがアリなら、黒四角形表出と黒丸を同じマスに「重ねて」置くのはどうなのだろう?色が微妙に異なっているので、重なっていても一応存在することはわかりそうだ(非常に見づらくなるが)。エディタが期待通りに正解判定してくれるのなら、使ってみても良さそうだ。今は、先ほどの趣向(「点が正方形の中央に来ない」の活用)に反するので、採用しない。

図5

右下をわかりやすくした。

9:17

「点が正方形上に来ない」を生かした決まり方を組み込みたい。そのために、どうすればいいか。最初の作りのように、線が格子点を通る場所で黒マスで斜めに挟んでやって、正方形の角度や位置を狭い範囲に限定してやることで、他の正方形上にきやすいようにするのが良さそうだ。いっそのこと、チェッカーボード状に黒マスを配置して、45度の正方形しか置けないようにしたらどうか。このアイデアは良さそうだ。45度以外にも、ドミノを並べてatan(2)の角度に限定したり、といったやり方もありそうだ。「点が正方形の中央に来ない」も使いやすくなりそうだ。

ただ、10x10の盤面サイズで実現するには些か場所をとりすぎる仕掛けであるように思う。

図6

少し盤面を大きくした(14x14)。これで作り直す。

図7

先ほどの左下コーナーの配置だが、図7のように2通りの解があった。この二択で表面に4つの頂点が露出している。先ほどの「点が正方形上に来ない」と組み合わせられそうだ。

9:41

休憩

10:47

先ほどのチェッカーボード配置を試してみる。

図8

なんとも柔軟性に欠ける印象である。このアイデアは没。

具体的な解き筋を考えるのはいったん置いておいて、とりあえず盤面全体にバラバラと正方形を置いてみる。こういう配置の仕方は「なんとなく」で、かつ勢いで決めていくので、言語化することは難しい。現時点ではパズルの性格が分かっていないので、「なんとなく配置がかっこいい」であったり、「なんとなく単調でない(解が予想できない)」であったりといった側面だけを見て配置を決めていく。

図9

正方形を決めた。黒マスもどんどん置いていく。こちらも「なんとなく、ここに置いたら決まりそうだ」くらいの感覚で置いていく。もちろん、解が露骨になりすぎないようには意識をするが、実際に解けるかどうかは正直よくわからない。解きチェックや調整で頑張ればいいだろう。

図10

このまま勢いで黒点も入れてい…こうとしたが、正方形の中に正方形が入っているのはルール上不可能だということに気づいた。修正する。

図11

これで、一応ルールは満たしているはずだ。URLを出力して「正解です!」のようなメッセージが出るかどうかを確認する。

図12

エラーが橙色でハイライトされている。随分とエラーが多い。一点見逃しがあった(丸の位置で、頂点が他の正方形上にきている)のはともかく、黒マスの四隅を線が通過するのも禁止しているようだ。Squares may not cross shaded tilesという書き方から、頂点は通って良いものと思ったが、crossの解釈が違ったらしい。ルールの大きな思い違いがあったので、ゼロから作り直そう。

イメージを再整理していく。正方形は、黒マスと接触しない。ということは、これまでのように黒マスでギリギリのところまで正方形を縛ることができない。黒マスは、正方形からは距離をあけた状態で、ゆるっと弾く感じでイメージするのが良さそうだ。正方形の内部に黒マスを入れたいので、全体的に、もう少し正方形を大きくした方が見通しが良いだろう。正方形の配置から作り直す。

図13

正方形が大きくなる分、正方形の個数を少なくした。中央下の正方形は、巨大な正方形から少しだけ角を覗かせる配置にした。「氷山の一角」という言葉から連想するように、氷山が海面から口の先だけを出して必死に呼吸する感じにしたい、と考えたため、このような配置にした。

次に、正方形達の合間に黒マスを放り込んでいく。これもフィーリングで入れていく。

図14

大胆な配置でいくつか放り込んだ。これでうまくいくと良いのだが。

11:24

点を配置して、成立のチェックをする。

図15

また見逃しがあった。丸のマスで正方形の頂点/辺が重複していた。修正する必要がある。

修正のついでに、盤面内にばらばらと点在している黒マスの配置を、いくつかの塊にまとめたい。前回の作問記録でも感じたことだが、黒マスが孤立していると、掴みどころのない問題という印象になる。黒マスを塊にすると、(作者が意図していなかったとしても)自然と、作意がありそうな雰囲気になる、と感じる。恐らく、のっぺりと配置するよりも、濃淡を作る方がメリハリというか表情が出るということなのだろう。

図16

盤面の右上には、大きな「?」を意識した形を作ってみた。ちょっとした遊びである。URLを生成して、解として成立しているか調べる。成立しているようだ。ここからは唯一解になっているかを確認しつつ、調整をしていく。

11:36

解く。

図17

嬉しいことに、いくつかの正方形は決まりそうだ。しかし、中央下の正方形には(例えば図16のような)別解がある。また、左上は正方形が斜めになる別解候補が2つ(青)あり、内1つは点によって潰れているのだが、もう1つが別解として残ってしまっている。調整する。

図18

なんとなく気に入らない部分を調整していく。

図19

11:52

左辺や右辺がなんとなく寂しいので調整する。

図20

11:58

休憩

15:37

見た目は良くなってきたと思う。いったん解いてみる。

図21

上の図21のように、中央下から左下にかけて、2つの正方形の形が切り替わる別解があった。悔しい別解である。片方だけ切り替わる別解は(たぶん)潰せているのだが、両方が同時に形を変えることで喧嘩をせずに制約を満たしてしまう。調整する。

図22

いくつかパターンを試して、これに収束した。(解き慣れていないので少々怪しいが)唯一解になったようだ。

16:06

今回は、試行錯誤問を目指していたのだった。現状ではそこまで難しくなっていない。もう少し調整して難易度を上げたい。

しばらく考えたが、収束してしまっていて調整の余地がないように感じた。今回はこれで完成ということにしよう。

16:17

完成!…のつもりだが、まだ自信がない。別解があるかもしれない…

図23

https://pedros.works/paper-puzzle-player?W=13&H=13&L=x24c9x25x10x8x4x40x52d2x2x14x4x34x2x2x10o22x30x62d42x6x2x2x10v43x43x4x2x6x2x42x56v71x3x2x6x32x4x2x4x2&G=tectonic-squares&P1=1&P2=1