作問記録:第2回 やじさん倉庫番

前回(https://pzdc.hatenablog.com/entry/2023/01/29/174049)に引き続き、第2回の記事を書いていく。

(長いので、一応)目次:

1/30

19:42

「作問記録」を始めた動機は、私が既に知っている作問ノウハウを紹介することではなくて、作問のノウハウを「発見していく過程」を記録することにある。

このため、このシリーズは、基本的に

を作る方針でいきたい。

作問記録の第1回では、様子見ということで、典型的なペンパである「ぬりかべ」を作った。このシリーズを続けていく感覚を掴むために、もっとマニアック(?)なペンパも作っていきたい。今回は、ぱずりんく(https://puzz.link/list.html)のパズルの一覧から、めぼしいペンパを探す(ところで、「めぼしい」という言葉は「目星がついている」の「めぼし」からきているのだろうか)。ぱずりんくのパズル一覧を久しぶりに見た気がするが、また一層パズル種が増えているようだ。一覧の中に「やじさん倉庫番」というのがあった。ペンパなのに倉庫番とは、興味深い。今回はこれを作ろうと思う。

19:44

作問の前に、ルールを把握する必要がある。やじさん倉庫番のpuzz.linkエディタ(https://puzz.link/p?yajisoko)の「ヘルプ」>「ルール」からルール(https://puzz.link/rules.html?yajisoko)を確認する。

やじさんかずさんをベースにして、黒マスに移動の要素を加えたようだ。ただ、倉庫番よりは単純化されている。クネクネと曲がった経路はないし、箱を押すためにプレイヤーを後ろに立たせる必要もない。動かし方の感覚は、「ぼんさん」あたりが近そうだ。(ヤジリンややじさんかずさんにあるような)黒マスの隣接禁がないことには注意したい。倉庫番は一般に(ペンパよりも)かなり難しいパズルだと思うので、これくらい単純化するのはよさそうだ。謎に評論家みたいなことを言っていないで、作り方を考え始めたい。

19:51

今回は、(先ほどのルール説明の例題も含め)一問も解かずに作ることにする。解くことで得られるノウハウはもちろん有用だが、自力でノウハウを発見していく過程も大事だと思うからである。

未知のペンパの感覚をつかみたい。こういう場合に、方針はいくつかあるのだと思う。一つの方法は、解になりそうな「配置」を作って、それが実際に唯一解になるかを検証していく方法。この方法は、試行錯誤寄りの難しめの問題を作るのに向いている。この方法の利点は、自分でも思わぬ手筋が生まれるのを発見できることにある。別の方法として、論理を組み立てて一つ一つ地道に作っていく方法がある。この方法は、理詰め寄りの易しめの問題を作るのに向いている。この方法の利点は、「偶然」ではなかなか出来えないような美しいロジックを組み込めることだろう。また、運任せでないのでハタンは起きにくい。

私は、前者の方法、すなわち、運ベースで作問をすることが(普通のペンパ作者と比べたら、おそらく)多い。今回は、後者の理詰めベースの方法で作っていこうと思う。

20:05

ここから構想を考えていく。どのくらいの大きさの盤面サイズにするのが良いか。最近の私はもっぱら大きめの盤面サイズを好んでいる。今回も大きめの盤面サイズで作りたい。具体的にどれくらい大きくするか、というのが考えどころだ。このペンパは、箱の移動が「一手」なので、箱(黒マス)の個数が少ないと、あっという間に解き終わってしまいそうだ。何もない空間があると、もったいない感じになりそうだ。そう考えると、他のペンパと比べても大きめにするのが良さそうだ(このあたりの感覚は、ヘルゴルフやぼんさん等に近いだろう)。

今回、理詰めベースで問題を作っていく。特に序盤は、あまり重くならないようにしたい。前回ぬりかべを作った時とは違って、まだ、このペンパのファンダメンタルな面白さの根源が掴めていないのが懸念点である(作る人が本当に面白いと思っていないと、面白い問題は作れない、と思う)。まずは基本的な手筋がどんなものか考えてみて、どこが面白いかを私なりに考えた後、それらを問題に投入していくイメージでいこう。

20:12

入浴、そして、休憩。

入浴しながら考えていたが、こういう気分転換の時間にアイデアを思いつくと、作問の思考の過程を記事に記録していくことができない。基本はなるべく休憩時間を挟まないように進めていきたい(とはいえ、まっとうな人間くらいの休憩は取るが)。

21:21

動画配信を聞きつつ、方針を考えていく(ディスプレイがもう一台欲しい…)。

前回は横長の盤面で作ったため、今回は正方形で作ることにする。

今回は、盤面サイズを決めてしまう前に、入れたい手筋やコンセプトを考える。このペンパで入れられる手筋はなんだろうか?そして、どういう時にこのペンパは面白くなるだろうか。

21:26

図1

まず最初に思いつくのはこれだろう。図1のような「大きすぎる数字」は、明らかに嘘つきなので、黒マスになる必要がある。黒マスを作るために、どこかから箱が移動してくることになる。

ペンパではよく、「押す」ロジックと「引っ張る」ロジックの対比が見られるが、これは、「引っ張る」ロジックである。箱が自発的にどこかに移動するのではなくて、マスの方から「求められて」移動していく。

「押す」と「引っ張る」のバランスは意識していきたい。「押す」ロジックは、このペンパで言うとどういうロジックにあたるだろうか。(移動系のペンパで時々見られるように、)箱に移動量を表す数字を与えられるのなら話は早いが、このペンパにはそれがない。箱が移動せざるを得ない状況になるように、外部からなにかしらの刺激を与えてやる必要がありそうだ。この刺激を与える役割を誰が果たすか、というと、数字の矢印(「数矢印(すうやじるし)」と呼ぶことにする)くらいしかなさそうだ。

図2

具体的に考える。このように、数矢印で箱を非難してやることによって、箱を「押し出し」たい。押し出された箱の行き先は、3通りが考えられる。

  1. 左右に、華麗に射線をかわしてみせる。
  2. 「手前」に移動して、数矢印を「貫き返す」(数矢印のあるマスを箱が通過することは、ルール文を見る限り禁止されていない)。
  3. 数矢印のマスまで箱を持ってくる。これによって数矢印からの言及は「なかったこと」になる(その数が結果的に正しかろうが誤りかろうが(誤ろうが?)問題がない。

箱が、そこに居たくない、と思うのは、上の例のように、数字から難癖をつけられた時くらいだろうか。他にパターンがあり得るか考えてみる。ある箱があるマスにて、数矢印から難癖をつけられていないとする。この時、この箱はルール文の1~3のいずれについても抵触していないようだ。ということは、そこにとどまる権利があるはずだ。やはり、箱を「押す」の感覚で動かすには、数矢印に難癖をつけさせるしかなさそうだ。

しかし、数矢印自体が噓つきの可能性がある。どうすればこれが期待通りに発動するだろうか。

21:37

数矢印を論拠に用いるのなら、事前に、その数が噓つきでないという保証が欲しい。

図3

例えば、こういうのがありそうだ。中央の「0↑」を囲む4つの数字は、どれも(大きすぎる値であることから)嘘つきとわかるので、どこかから箱がやってきて、これらが黒マスになる必要がある。中央の「0↑」を黒マスにするためには、やはりどこか外側から箱を引っ張ってくる必要があるが、四方が囲まれているため不可能である。(後で気づいたが、「0↑」のすぐ上が黒マスになるので、この数は1以上でないといけない)

他にも様々な(数を正直にする)パターンがありそうだ。例えば、注目している数字の行と列に、(出題時点で)箱が一つもなければ、黒マスにはなり得ない。

図4

例えば、こういう風にしてもいいだろう。青いマスに箱を置かなければ、注目している「0↑」が嘘つきになる心配はない。

図5

箱の移動経路はお互いに交差しないため、箱が来れないように移動経路によって蓋をする方法もあるだろう。(後で気づいたことだが、箱が後退して「0↑」のマスにやって来る可能性があるのだった。)

図6

注目している数矢印を、箱によって貫かせてしまう方法もありそうだ。

22:02

図7

やじさんかずさんでは、こういう配置で上の黒マスが排除されるが、このペンパではうまくいかない。

複数の方向から指してうまく手筋を作れないだろうか。

図8

こうしてみる。下の二つの3は嘘つきであることがすぐにわかる。もし箱が動かないと仮定すると、二つの0も嘘つきになるが、そうすると箱の経路に交差が発生してしまう。したがって箱は動くことがわかる。面白い決まり方だ。ただ、実際の箱の動き方は一つに絞り切れない。次の3つのパターンができる。

  • 箱が下に1マス動く解(2つの0は天使にも悪魔にもなれる)
  • 箱が右に1マス動く解(右の0は、噓つきになるために箱を求める)
  • 箱が右に2マス動く解(左の0は正直者になる)

面白いが、汎用的には使いづらいかもしれない。

22:21

今日はここまでにしておく。

1/31

19:28

1日経ってすっかり感覚を忘れてしまったので、記事を見返しながら考えていく。

図9

このようにすれば、中央の数字を嘘つきにする手段がなくなる(嘘つきにするために遠くからやってきた箱を中央まで持ってくる必要があるが、その過程で少なくとも1つの「0」の上を通過して、正直者にしてしまう。これは中央が黒マスであることと矛盾する)。この考え方で正直者を作るタイプの入口が作れそうだ。

手筋のバリエーションが増えてきたように思う。整理をしてみる。

分類 考察
箱が、自発的に動く 正直な数字の射線から逃れるために動く
複数の数字から差された箱が「いずれにせよ」で動く
箱が、能動的に動く 嘘つきの数字が箱を引っ張る
数合わせのために引っ張られる
箱が、動かない 閉じ込められて動けない
数合わせで身動きが取れない
箱の動きが、止まる
or抑えられる
ぶつかって、それ以上進めない
数字に差されていて、固定される
それ以上進むと数字に差されなくなってしまう
それ以上進むと数字に差されてしまう
箱の動きが、進む 数字に差されていて、止まれない
もっと進まないと数字に差されてしまう
数字が正直者になる 箱が「貫く」ことによって正直者と確定する
視野を狭めることで正直者と確定する
数字が嘘つきになる 明らかに嘘をついている(数が大きすぎる、小さすぎる)
数字が(嘘つきかどうかはわからないが)隠される 箱の自発的な動きによって潰される

思ったよりもパターンが多そうだ。これらをいい感じに使いこなしたい。

19:52

いずれにせよの論理などは難しいのでいったん置いておいて、基本の手筋を考えていく。箱が射線から逃れる目的で少しずつ動くという、いわゆる多段階で手が進むスタイルも悪くないが、今回はあくまでサクサク解けるようにしたいので、動くなら動くで一発で動き切るものを作りたい。すると、箱は射線から逃れるのではなく、外から求められて動くということになるだろう。箱が「動かない」というのも一つの選択肢だが、あまり気持ちのいい決まり方が思いつかない。基本はすべての箱を動かす方向で考えよう。

手筋について、色々な観点があるが、箱をどのように動かすか、という観点が分かりやすそうだ。

最初の入口は、手堅く「明らかに嘘つきな数字」にすることにする。続いて、それを嘘つきにするための箱が引っ張られる。すると、①盤面が程よく分割されてくる効果と、②箱の貫通によっていくつかの数矢印が正直者と確定する効果が発生する。すると新しく手筋が生まれる。これがエッセンシャルな部分になるだろう。「数あわせのために引っ張る」も楽しく解けそうな部分なので、先ほどの②の部分から手をつなげていきたい。

20:06

こうして箱が次々と動いて見通しが良くなってきた段階で、少し難しいロジックを入れ始めたい。例えば、

  • 数字の大きさ的にはあり得そうだが、よく見ると箱が足りないために嘘つきにならざるを得ない数字

というのは良さそうだ。

  • 経路で分割されたいくつかの領域で合計で黒マスの数がNにならないといけないから、こちらからx個、こちらからy個こなければならない

といったロジックもいいだろう。

  • 箱の数合わせのために箱を引っ張るロジックを(矢印の方向と同一方向に移動するように)使っておいて、箱の動きを抑制する機構と組み合わせて箱の動き量を決定する

のも良さそうだ。

徐々に、面白くできそうな要素が見えてきた。今回は初めての作問なので、これくらいまでできれば合格と思っている。

20:12

入浴休憩。

21:42

計画を立てるのは大事だが、あまり長引いても計画倒れしそうなので、とにかく作り始めてみる。

大胆に進めていきたいので、普段よりも一段と大きい盤面サイズで作ることにする。なんとなく、24x24にする。

図10

まずは一個入口を置く。

図11

4が嘘つきで、薄青のマスには箱を入れない。3も嘘つきなので、3よりも右側に箱があったとしても4のマスには持ってこれない。これで、4が下にある箱を引っ張る入口になるはずだ。4、3と来たので、勢いで2を置く。2は正直者にもなれるが、このように順番に並んでいると、「ひっかけ」に出来そうだ。ただし、現時点では、2を実際に正直者にすることにはこだわらない。「ひっかけ」だと思わせておいて、実は素直に嘘つきになることも出来る、というのが面白いからである。理詰めで解く道筋があるにしても、こういう風に程よく迷わせる要素があると、「パズル」という感じがする。

2手目は、1手目が決まることによって連鎖する効果を入れてみる。こちらが入口にならないようにするために、右に箱を入れておく。

図12

まだ左側のスペースが使えそうだ。さらに連鎖を作る。今度は、上から下方向へと箱を動かす形にする。

図13

私は、過去に橋をかけろを作っていて、空間が変に余って上手くいかなかったことが何度かある。やじさん倉庫番でも、大きな盤面サイズで大胆な問題を作るときには、似たようなことが起きないか心配である。この心配があるので、特にコーナーは行ごとのバランス間に注意していきたい。現時点では、2列目、4列目、5列目、それから1行目が、まだ使っていない状態になっている。これらの行、列を使い忘れることだけは避けたい。

22:02

次の展開をどうするか。ここまで、縦の動きが連続していて、なんとなく見栄えが悪い。そこで、そろそろ横の動きを入れたい。また、少しだけロジックを捻りたい。

図14

こういう展開を思いついた。新しく入れた「1←」は、出題時点では正しい数なのだが、箱が下方向に引っ張られることによって、正直者としての権威を失ってしまう。これによって初めて立派な嘘つきへと成長を遂げる。悪くない印象だ。右から引っ張ってくる箱は、「3↑」の真上に入れて、妖しい雰囲気を出してみる。下の「4→」は、あえてすぐには確定させないつもりで置いた。ここは、後から調整することも視野に入れておこう。

22:13

上辺の「隙間」が美しくない。こういう空間に無理に入れようとすると、並走するように線を引く羽目になることがある。経験的に、線を並走させるのは解いていて気持ちよくないので、なるべく垂直な展開にしたい。そこで、箱の通過経路上に数矢印を投入する。

図15

並走は避けたいため、今回は「正直者に指されているので、動けない」パターンにした。もう一つ似たパターンを入れられそうだ。

図16

ぎりぎり「並走」にならない場所まで箱を引っ張った。

22:28

今日の作問活動はここまで…と思ったが、今日の成果を確認するために解き直したところ、既にハタンがあった。左上の「1←」に対して、下方向から箱を持ってくることが出来るのだった。その下にある「?→」を嘘つきにしておく必要がある。

単純に、大きな数字にして嘘つきにしても良いだろうが、なんとなく、露骨に嘘つきが集まっていて、バランスが悪い印象を受ける。工夫した手を入れたいが、まだ作問の序盤なので、見通しはよく保っておきたい。「少し高度だが、確定する形」くらいにして、盤面の別の場所に別途入口を作ることにする。盤面をじっと見ていたら、次のような配置を思いついた。

図17

0と1が向かい合っている。これだけでは確定しないが、左側を箱が通過しているため、お互いを嘘つき宣言している形になる(0が正しいとすると、この行に黒マスは入らないため、1は嘘つきになる、1が正しいとすると、この行には黒マスが入るため、0は正しくなり得ない)。ところが、左側の「0→」は、1を正直者宣言してもいる(0が正直者だとすると、矢印の方向に黒マスがないことになるため、1のマスも黒マス(嘘つき)になれない)。つまり、「0→」が正しいと仮定すると矛盾する。したがって「0→」は無効化される必要がある(0が正直者なのか嘘つきなのかは現段階ではわからない)。

少しわかりにくい考え方なので、実際にはここで解き手の手が止まって、別の場所に手を付ける可能性を想定して、作問を進めていきたい。

22:49

今日はここまで。

2/1

21:12

上で作った0と1の手筋について改めて考える。

「1←」が正しいとすると、「1←」の左側には一つの黒マスが入る(「1←」のマス自体も黒マスになれる)。一方で、「1←」が誤りだとすると、「1←」のマスは黒マスになる(「1←」の左側には、1個ではない(0個も可能な)任意の個数の黒マスが入ることができる)。このことから、「1←」が入る行には、必ず1つ以上の黒マスが入ることがわかる。

図18

例えば、これでも0が嘘つきであることが確定する。「1←」は、正直者であれ嘘つきであれ、常に「そのマスを含めて」矢印の先に黒マスが1個以上であることを示すヒントになっていることがわかる。

1以上、を表すヒントが作れるのなら、2以上を表すヒントも作れないか。上の形を真似して、配置を作ってみる。

図19

確かに、2以上になっている。不思議な決まり方だ。

図20

さらに一般化して、nがn個ある時には、n個以上の黒マスが入ることがわかる。

21:23

思わぬ発見があったが、解き手にこの知識を要求するのは難しいと思うので、しばらくはもっと簡単な手筋を中心に作っていきたい。

左上はいったん手を休めて、別の場所に入口を作りたい。次は右上コーナーに入口を作ることにする。なんとなく作りづらいので左右を反転する。先ほどまで作っていた展開は、入口がなんとなく見えにくくなってしまったように思うので、もう少し目立つ形を入れたい。数字を集めてみる。

図21

8の密集地帯を見ていて、もっと目立たせることを思いついた。

図22

これくらい目立たせていいかもしれない。数字や箱が隣接しているのは美しくないのかな、という懸念があったのだが、作ってみると意外と悪くない印象だ。

解き手は、数字を貫く移動ができないと思い込んでしまいそうなので、数字を貫く移動の形も早めに作っておく。

図23

1の部分を8の形と対比的な構造にして目立つようにしたい。流れで作っていく。

図24

8と1の構造の「ふた」の部分に2を置いて、そこから手をつなげてみた。大きく展開させて、(現在の)右上の入口とも絡めたい。気づきにくい入口があっても、お互いに相互作用して気づきやすくなる効果があると思うので、入口どうしで展開を絡めていきたい。

21:55

さらに手を進める。まだ箱を持ってこれていない8がいるので、そこから手を進めるのが見通しが良さそうだ。先ほどの「ふた」の2が引っ張る箱の流れと並走する形になるので、その隙間を垂直方向に貫く流れを作りたい。箱が通過するマスに数矢印を入れて、機能させる。ここはヤジリンのように、入る最大の数を入れることで、黒マスを一気に確定させることにする。

8と1が作るドーム構造部分について、8の側の屋根の上にL字に並んだ箱3つがある。その内一つの箱だけ、まだ確定していない。箱が最後まで縛られずに残ると複数解になってしまうので、この箱を早めに確定させておきたい。わかりやすく他の箱で押さえつけてしまうことにする。さらに、上辺にも展開の進む形を入れる。

図25

先ほどのL字配置の3つの箱については、十字配置にした。さらに上辺の隙間を埋めていく。

図26

「3↑」を入れて、この付近一帯は収まってきた。…と思ったが、一か所ハタンを見つけた。上辺に並んだ3つの箱の内、中央の箱が、下の「0↑」に指されることによって下に降りてくると思い込んでいたが、実際には「0↑」のマスに下や横から箱が来る可能性があるのだった。修正を試みる。

図27

まず、わかりやすく、aの位置に0を追加した。これによって、bの「1←」は白マスと確定するため、正直者になる。ここで、cの箱は下の(正直者の)5から既に差されており身動きが取れないことに注意すると、すでにこの列の確定済み黒マス数は1になっているため、これ以上黒マスは入れない。よってdの「0↑」は正直者になる。eの箱はこのdの射線から逃れるために後退して、dを貫き返してfの位置まで進む。これで機能するようになったはずだ。

楕円で囲った部分に箱を引っ張ってくる必要があるが、そこは後で調整予定である。

22:46

いったん全消しして解きの流れを確認する。

図28

解き直した結果、2か所ハタンを見つけた。

  • 左辺の「1左」の方向に引っ張られる箱の停止位置が確定していない。実はもう1マス進む解があった。
  • 右辺の「3↑」の嘘の迫力が弱く、嘘つきとして確立していない。これらの対応はまた別日に考えよう。

22:59

今日はここまで。

2/2

19:30

今日も今日とて、続きを作っていく。

昨日の私のせいで、盤面に宿題が残っている状態だが、あまり一か所にこだわって考えてもうまくいかない気がする。盤面を180度回転して、気持ちを切り替える。今度は上半分(先ほどまでの盤面で言うところの、下半分)を作っていく。

ここまでで、いくつかの入口のパターンを作ってきた。「橋をかけろ」で時々見られるような大胆な入口も作ってみたい。ただ、盤面全体に影響が出てくることが予想される。まずは方針を考えて見通しを立てる。

図29

大きな十字を描いた。この十字の中心に嘘の数字を入れて、十字上には一つしか箱がないようにセッティングすれば、入口になるはずだ。しかし、ごちゃごちゃとした問題を作ると、気づきにくい入口になりそうだ。そこで、この十字の形が目立つような配置パターンを作りたい。

図30

例えば、これくらい大胆に作れば、気づきやすいだろう。しかし、箱の後片付けに苦戦しそうだ。

19:41

後片付けができるか不安なので、少し箱をばらけさせる。

図31

もう少し強調したいところだ。以降の作問では可能な限り十字に沿って箱を置いていくようにして、見栄えを整えていこう。

左上に手を付けていく。まずは思い切って分断する。ここは見やすさを強調するためにも箱を並べてみる。

図32

左上の空間ははっきりと分断されて、流れを作りやすくなった。

図33

「いずれにせよ」が使いたくなる形だが、無理をせずに作っていく。

図34

なんとなく気持ちいい展開だが、少々単調だ。垂直方向の仕掛けを入れる方法を後で考えることにする。

右上コーナー方向へも牽制を入れておく。

図35

この「?→」は、ここまでの流れから、いかにも嘘つきになりそうだが、実は正直者だった、という風にしたらどうか。

20:14

入浴。

21:12

20の上の空間を考える。2と0を次図のように並べてみる。

図36

かなり思い切った配置だが、十字構造に気づかせやすくする意図と、箱が余らないようにする意図を兼ねていて、はまり役である。上下はバランスを取らなくちゃなあ、ということで下にも2と0を入れた。

次は、まだ少し薄い、右上から右辺にかけてを埋めていく。

図37

5を5つの塊で入れた。ペントミノの形になるように意識した。8と1のドームを作った時にも感じたが、これくらいの入口の方が後の展開が作りやすい。5つの5の内の一つは、閉じ込められて正直になるようにする。右肩の5が箱を引っ張ってくる方角を確定させるうえで、上方向から箱がやってくるのを防ぐために、「1↓」と「2↓」を入れた。

21:37

ペントミノの5が引っ張る箱の経路2つによって、こじんまりとした閉じ込めの空間ができている。この閉じ込めの空間をうまく使いたい。下向きの1を入れて、右辺で未確定だった1の箇所の箱を確定させておく。

図38

これをすると盤面の右下隅の空間に箱を入れづらくなる。盤面の右下隅の空間はまだ余裕があって、終盤に遠距離の連鎖を作るのに使えそうなので、この段階で潰してしまうのは少々もったいない。逆に、右下隅が先に確定することによってこの1が後から確定するようにして、それによってさらに別の箇所へ連鎖が進むようにしたい。ただ、うまく作る方法を思いつかない。いったん置いておく。

右上コーナーの作成に戻る。

図39

左の「?→」が嘘つきであるかどうかが論点の場面だ。「?→」が嘘つきだとすると右側にある箱がはるばる遠征してくることになるが、そうすると3つ並んだ1を全て正直にしないといけなくて、バツ印の場所でハタンする。これで左の「?→」を確定させることにする。次に考えることは、「?→」の数をいくつにするかだ。この数字が強力な役割を果たすようにしたい。「?」に0を入れると、先ほどと同じ論理でバツ印の場所がすべて黒マスになる。この力を使って下から箱を引っ張ってくることができる。

図40

型にはまらない手筋を作れた気がする。(解き手にとっては難しいかもしれないが…)楽しくなってきた。

図41

2と1が並んだ部分を働かせたいので先ほどの箱の経路上に「0→」を置いた。下の「5↑」や右下の空間とも絡めて決めたい。

図42

右下の空間を生かすために、Aの4とBの3が向かい合う形にした。これによってCのスイッチが左方向に切り替わる。Eが指す先に5個の黒マスを入れたい(Eの数が誤っていたため修正した)状況になるため、新たにDを追加して蓋をする。これでバツ印のマスに黒マスを持ってこれなくなった。これによって1のスイッチを右方向に切り替えれば良さそうだ。

22:39

見直していたところ、いくつかのハタンが生じている。今日はここまでにしておく。

2/3

20:45

続きを作ろうと思い机に向かったら、作り始めるよりも前に、Twitterのアカウントが凍結されていることに気づいてしまった。だいぶ嫌な気分になった。それはそれとして、続きを作っていく。

いくつかのハタンが生じている、と昨日の私は書いているが、どこだったか忘れたので、解き直しつつ修正していく。どうやら、閉じ込めの空間内の「5↑」が成立しなくなっている。後から加えた「4↓」と「3↑」の対と競合している。また、そもそもペントミノの部分の決まり方は5つの5がすべて嘘つきになることを前提にしていたのだった。これを忘れて、うっかり矢印の向きを上向きにしてしまっていた。このせいで、正直になれる余地が生じている。改めて、ペントミノの5の矢印を、全て右向きに戻しておく。

図43

これでとりあえずハタンは解消できたはずだ。

21:09

右上コーナー付近について、考えてみる。上から2行目の0→射線上にある箱は上下方向に躱す必要がある。箱が「上下方向に動く」ということは、逆に言えば「上下方向にしか動けない」(左右方向には動けない)ことになる。これを使った展開が作れそうだ。

図44

右上の箱Xを下方向から(数矢印「3↑」で)指した。既に述べたように、この箱は上下方向にしか動けないので、(数矢印を疑い返したり貫き返したりしない限りは)この箱は射線から逃れられない。ところが、「3↑」は0→射線上なので、疑い返すことができない。また、貫き返そうとすると、「3↑」の射線の大部分が箱の移動によって潰されるので、上方向に3個の黒マススペースを確保できない。面白い構造だ。

上の図44の配置の場合は、BとCから箱Xが逃れようとして、下方向に動こうとする。先ほどの論理より、Aまで箱Xを動かすことはできないので、YがAに来る。縦に並んだ3マスの黄色部分が黒マスになる。

面白い決まり方だが、解き筋を洗練できていない。少し悔しいが、うまく調整する方法を思いつかない。今はこれでいいことにする。

3つの箱の配置が確定して、その経路まで決まる。ここからは少し勢いをつけて進めていこうと思う。

図45

21:53

図46

勢いここまで手を付けた。中央に横並びになった2, 2, 0, 0について、矢印の向きを左、右、左、右と交互にしてみた。これによって「20↑」の右隣の0の位置に黒マスが発生する。この付近はだいぶ見通しが良くなったが、想定しない解き筋ができていないかを確認する。

よく見ると、右下隅のスイッチを下辺の「1→」が指してハタンしている。スイッチを1マス下に下げて、成立するか調べる。

図47

一応動作しそうだが、手が慣れてしまっているので、もう少し進めてから再確認することにする。

22:41

左下のコーナーをそろそろ進めておきたい。この部分はスパースな感じにしたい。これまでに作った部分が、解き直してみると思ったよりも重い印象なので、わかりやすい入口も増設する。

図48

左辺に入口をずらっと並べた。

22:53

改めて盤面全体を見ていて、嘘を起点にする手が多すぎる印象を持った。ほとんどの数字が黒マスになってしまっている。数字を生かす形をもっと入れたい。ただ、「明らかに間違っている数字」を黒マスにするロジックと違って、数える必要が出てくるので、手筋としては若干面倒になりそうで、悩ましい。ここからしばらくは数字を生かす方向で作っていく。

図49

いくつかパターンを作ってみた。まだバランスが良くない。もっと作る。

図50

落ち着いてきた。序盤でこの決まり方をもっと強調しても良かったように思う。

23:36

調子がついてきたので、今日中にも完成ができそうだが、少し落ち着いて問題を眺めたいので、今日はここまでにしておく。

2/4

7:44

今日も解き直す。論理破綻が一か所、ミスリードが意図通りに作れていない箇所が2か所ある。調整しつつ、最後まで作る。

図51

一通り作った。全消しして解き直す。右のほうに一か所ハタンがあった。軽い修正を加える。

図52

できた。手が慣れてしまっているので、もう一度盤面全体を回転して解き直す。解きチェックしたところ、問題なく解けた。ようやく完成!と言いたいところだが、慣れないパズルなので勘違いで別解を出している心配がある。別日にもう一度解き直して検証することにする。

10:35

2/5

解きチェックをした。問題なさそうだ。

完成!

図53

https://puzz.link/p?yajisoko/24/24/g.j...g-24.n.h.k.gb-12g.h-12g.-10i-10g-13.h-1b.l.g-15bg-1ah-1fk-35g...h..i-15i-1ai.gdg-35-35g.h..gbgbgeg.k-1di-35-35h-24h.g-10i-13i.i-1an-1abh.j..g-10i-1d..g-17g-29k.i.g-15h..n-7bg.i-7bg.g-17g.g-18g-20h-12-12..h.h.h.k.i-22-12-12g.g-17..g-10-10h.-17-18g.l-12j..g-17g-15k..g.h.i..i-16g-7bi-1d-18-13.g-15j-27m.-12h-13i-16j.-20-16g-24g-26k.h.cg.-16h.h.h.g-26-26-26.i.hc.g-16-18-18g-15g..-2ci-26g.j.g-16.i-16h-18g-11g.-1ci-11g.g-1cg.-16...o-1b-1fjdhde-70-17-18i-1bg-18...g-1bg..-17.g-12...-16h..o-12h.h-22h.-16h-11h.h-18h.j-1c-17h-16g.cn.g-13g.j-11-11-11ichdh.h-18jdh.i.hc.p

今回の出来にはおおむね満足している。